2021-5-27 未分類

まず最初に在職老齢年金制度について簡単に説明しますと、これは、会社に勤めながら年金を受け取ると収入に応じて年金額が減額される仕組みという事になっています。 そして、2022年4月から法改正で制度の内容が若干変更されることになっています。 このテーマについては、これまでも何度か動画で解説してきましたが、非常に問い合わせが多いテーマなので、あらためて今回、解説することにしました。 で、どのように変更されるかということですが、変更があるのは60代前半に年金を受け取る方、つまり特別支給の老齢厚生年金を受け取る方が対象になっています。 この対象の方が、今までは「年金+月収」が28万円を超えると年金が減額されていたいのが、今回の改正で47万円を超えると年金が減額されるという内容に変わるんですね。 この改正は、収入がある方にとっては嬉しい話になります。 但しこの説明だけでは、いろいろと誤解を生じてしまう可能性があります。 と言いますのも、今の説明は分かりやすくするために、あえていろいろな点を省略して説明しているからです。 なのでこの後に、もう少し詳しく正確な内容を説明をしますので、ここで終わりとせずに、どうか最後まで聞いて正しく改正内容をご理解いただきますようよろしくお願いいたします。 1.「年金」について という事ですが、冒頭で説明した「年金」というのは、老齢厚生年金(年額)を12で割った額ということになります。 対象になるのは老齢厚生年金ですので、老齢基礎年金が減額されることはありません。 なお、この老齢厚生年金には、加給年金は含まれません。 加給年金についての詳しい説明はココではしませんが、一言で言えば年金の家族手当のようなものです。 また、年金用語では、この年金のことを「基本月額」と呼んでいます。 そして65歳未満の方が受け取る老齢厚生年金については、特別支給の老齢厚生年金と呼んでいます。 年金は原則 65歳から支給開始となっていますよね。 でもある一部の生年月日の人は65歳になる前に受け取ることができるんですね。 それが特別支給の老齢厚生年金ということになります。 2.「月収」について 冒頭で説明した「月収」とは、ものすごく簡単に言えば、年収を12で割った金額という事になります。 そしてこの年収の中には、ボーナスと通勤手当や残業手当などの各種手当が含まれるという事になっています。 なお、正確に計算する場合は次の計算式で出すことになっています。 標準報酬月額+(直近1年間の賞与の合計額÷12) 標準報酬月額とは、会社から支給される(基本給+各種手当)の総額を1等級(88,000円)から31等級(620,000円)までに区切られた等級に対応させたときに該当する金額という事になります。 また年金用語では、この月収のことを「総報酬月額相当額」と呼んでいます。 3.年金はいくらカットされるのか その金額の出し方は ・65歳未満の年金停止額(月)=(月収+年金月額ー47万円)÷ 2  *改正後の計算式 つまり47万円を超えた金額の半分が支給停止になる年金額ということになります。 例えば次の人のケースで計算してみたいと思います。  ・現在、会社で働いていて収入金額は月40万円で賞与はなし  ・老齢厚生年金額は、年間で180万円飲み込み  ・63歳の時に特別支給の老齢厚生年金の受給権が発生する で、先ほどの式に当てはめる前に、まずこの人の年金月額を出したいと思います。 この人の老齢厚生年金額は年間で180万円ですので  ・基本月額=180万円÷12ヶ月=15万円 という事になります。 そして総報酬月額相当額は約40万円という事になります。 なので、先ほどの式に当てはめますと (40万円+15万円ー47万円) ÷ 2 =4万円 つまりこの人の年金は、毎月4万円減額されるという事になります。*改正後の金額 因みにこの方が65歳以降も働いていて、収入金額が変わらない場合は、やはり毎月4万円減額されるという事になります。 4.繰上げ受給した場合は? ということですが、これは繰上げ受給を選択した場合、在職老齢年金はどうなるかと言う話です。 その場合、まず繰上げによって老齢厚生年金は減額されます。 そして減額された年金額と月収の合計金額に対して支給調整が行われるという事になります。 なお老齢基礎年金には影響がありません また、繰上げ受給を選択した場合の注意点の中で重要な3つをまとめると  ① 減額された年金額は、その後一生続く  ② 一度繰上げを選択すると、その後、その決定を取り消すことはできない  ③ 繰上げ受給後に、障害を持ってしまった場合は、障害基礎年金がもらえない    *但し繰上げ受給前に初診日がある場合はもらえる という事になります。 5.まとめ 今回の内容を 一言でまとめますと ・60歳台前半の在職老齢年金は、2022年4月から「月収+年金」が47万円を超えると減額される これは、年金を受け取りながら働く方にとっては大変うれしい改正となっていますが、対象となるのは特別支給の老齢厚生年金を受け取る一部の方だけという事になります。 これからの時代は定年が延長されるなど、65歳以降も現役で働く方は確実に増えると思います。 つまり、年金をもらいながら働く事がスタンダードになりつつあると思います。 でも一方では、年金をもらいながら働くと損するといった風潮が根強くあります。 だからこそ世間の風潮に流されずに、制度内容を正しく理解することがより一層大切になるお思います。 #在職老齢年金 #年金改正 #特別支給の老齢厚生年金

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